お笑い芸人が独立して個人事務所を立ち上げるケース、最近よく耳にしませんか?

えっ、この芸人も“フリー”だったの!

なんでわざわざ事務所から独立するの?

実は、芸人にとって“独立”はチャンスでもあるんだよ。
自由度が高く、収入アップにもつながる場合があるんだ。
この記事では、
- 個人事務所に所属しているお笑い芸人が知りたい
- そもそも個人事務所って何?
- 芸人はどうして独立するのか気になる
という方に向けて
- 個人事務所とは何か、そのメリット・デメリット
- 芸人が事務所を離れて独立する理由
- 2025年現在、個人事務所で活躍している芸人
を分かりやすく解説していきます!
この記事を読めば、個人事務所で活動する芸人の今とこれからがスッキリ理解できます。
個人事務所とは?

「個人事務所」とは、芸能人自身や家族・信頼できるパートナーなどが立ち上げた法人のことを指します。近年ではこのスタイルを選ぶお笑い芸人も増えてきました。
従来、お笑い芸人は吉本興業や松竹芸能、ホリプロなどの大手事務所に所属して活動するのが一般的でした。マネージャーによる営業やスケジュール管理、メディアへの売り込みなどを任せられる一方で、出演料などのギャラには「事務所の取り分」があり、芸人の手元に残るのは一部のみ、というケースも少なくありません。
一方、個人事務所では、そうした仲介がなく、芸人自身が主導権を持って活動することになります。番組出演やライブ開催、SNS運用なども自分で選び、管理しながら進めるスタイルです。特にYouTubeやTikTok、ポッドキャストなど、個人発信のメディアが主流になってきた現代では、フリーでも十分に活躍できる環境が整いつつあります。
つまり「個人事務所」とは、「事務所に頼らない働き方」や「自由な芸人ライフスタイル」を象徴する言葉とも言えるのです。
個人事務所のメリット・デメリット
では、お笑い芸人が個人事務所(またはフリー)で活動することには、どのような利点と課題があるのでしょうか?ここでは、それぞれの視点から詳しく解説します。

メリット
1. 収入が増える
事務所を通さないため、番組出演やライブの収益がそのまま自分の収入になるケースが多く、収益性が高まります。特にYouTubeやイベント運営などで収益化している芸人にとっては大きなメリットです。
2. 自由な活動ができる
出演メディアやスケジュール、コラボ相手などを自分で選べる自由があります。事務所の方針に縛られず、好きなジャンルや新しいチャレンジにも挑戦しやすくなります。
3. セルフブランディングが可能
自分のイメージ戦略や発信内容を自分でコントロールできるため、個性的な活動がしやすくなります。SNSや動画配信を通じて、ファンと直接つながるスタイルが強みになります。
デメリット
1. マネジメント業務の負担が大きい
スケジュール管理、営業、契約、経理、税務など、これまで事務所が担っていた業務をすべて自分でこなす必要があります。特に売れっ子芸人ほど負担は大きくなりがちです。
2. トラブル対応のリスク
クレーム対応や炎上時の対応、法的トラブルなども自分で処理しなければならず、精神的・時間的コストが高くなる可能性があります。
3. 仕事の獲得が難しいこともある
信頼や人脈が十分にあれば問題ありませんが、若手や駆け出しの芸人にとっては事務所の営業力や後押しがない分、露出機会が減ることもあります。
個人事務所を設立するメリット・デメリット比較表
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
収入 | ギャラを自分で全額受け取れる/収益性が高い | 安定収入が得にくく、収入が不安定になるリスク |
活動の自由度 | 媒体・企画・相手を自由に選べる | 判断をすべて自分で行うため、誤るとリスク大 |
ブランディング | 自分の色を強く打ち出せる/SNSでファンと直結 | 炎上や誤解などのトラブルが自己責任になる |
マネジメント業務 | スケジュールも自分のペースで組める | 営業・経理・税務などの事務作業に時間を取られる |
トラブル対応 | フットワーク軽く対応できる | 法的トラブルやクレーム対応を一人で背負う必要がある |
仕事の獲得 | 人脈や実績があれば仕事を広げやすい | 若手はチャンスを得にくく、テレビ・ラジオ出演の敷居が高くなることもある |
このように、個人事務所での活動は「自由と責任が表裏一体」です。フリーとして活動するか、事務所に所属するかは、芸人自身のスタイルや目標によって適した選択が異なります。
なぜ芸人は独立するのか?その理由と背景
近年、個人事務所やフリーランスとして活動するお笑い芸人が目立つようになってきましたその背景には、芸人自身のライフスタイルや価値観の変化だけでなく、業界を取り巻く大きな時代の流れがあります。

ここでは、芸人が独立を選ぶ代表的な理由を4つの観点から解説します。
1. 収入面の改善
やはり大きな理由のひとつは、「ギャラの取り分」です。
従来、大手事務所ではテレビやライブ出演のギャラから一定の割合を事務所が差し引く「取り分のシステム」があり、売れていても芸人の手元に残る金額は決して多くないというケースも珍しくありませんでした。
独立することで、こうした「中抜き」がなくなり、ギャラや収益を自分で直接受け取れるようになります。YouTube広告収入やグッズ販売、イベントの主催など、多様なマネタイズ手段を自由に活用できる点も大きな魅力です。
2. 自由な活動がしやすい
芸人が独立を考えるもうひとつの大きな理由が、活動の自由度です。独立することで、芸人は自分の意思で活動内容を決められるようになります。
事務所に所属していると、スケジュールの調整や出演メディアの制限、方向性に対する口出しなど、さまざまな制約が発生することがあります。ときには「やりたい仕事」ができなかったり、自分の芸風や意図と合わない番組に起用されたりすることも。
個人事務所であれば、テレビだけでなく、ラジオ・舞台・YouTube・SNS・ポッドキャストなど、自分の表現したい場所を自分で選び、発信できる環境が整います。
3. 時代の変化とプラットフォームの多様化
ここ10年でメディア環境は大きく変化しました。YouTubeやTikTok、InstagramといったSNSを活用すれば、事務所の力を借りずとも個人で数万人〜数百万人のファンとつながることが可能です。
また、動画編集や配信技術も進化し、少人数のチームでも高品質なコンテンツを制作できる時代になりました。もはや「テレビがすべて」ではなく、芸人としての活躍の場は無限に広がっています。
こうした「個人発信」が主流になった今、事務所に依存しなくても自分の才能を世に届けるルートが増えています。特に若手芸人や中堅層にとっては、独立することでテレビ以外の可能性を最大限に活かすことができるのです。
このようなプラットフォームの多様化と視聴者のメディア分散は、個人事務所やフリーで活動する芸人にとって大きな追い風となっています。
4. 権力者の世代交代と価値観の変化
そして、見逃せないのが芸能界の構造的変化です。
かつて、芸人のキャリアや露出は「どの事務所に所属しているか」「どの大物の庇護を受けているか」で大きく左右されていました。特にテレビ業界では、長年にわたり影響力を持っていた大手事務所の創業者や名物社長たちが絶大な力を握っていたのです。
しかしここ数年で、そのような存在が次々と引退や交代を迎え、テレビ業界全体でも世代交代が進んでいます。いわば、「テレビ黄金時代を支えた社長世代」の代替わりが起きているわけです。
その結果、番組のキャスティングにも柔軟性が生まれ、フリーの芸人や個人事務所所属のタレントが起用される例が増えてきました。かつては事務所の“力関係”に左右されていた業界が、実力や発信力を重視する空気へと変わってきているのです。
このように、お笑い芸人の独立には、経済的な合理性だけでなく、自由な表現を求める姿勢や、時代の変化への適応といった、多面的な理由が存在します。個人事務所やフリーとしての活動は、まさに現代の芸人たちが選ぶ「新しい働き方」なのです。
個人事務所で活躍しているお笑い芸人たち(2025年現在)

ここでは、実際に個人事務所を設立・所属して活動しているお笑い芸人を一覧でご紹介します。
以下の表では、芸人名、現在の所属事務所、そして旧所属事務所を簡潔にまとめています。
芸人名(ユニット) | 所属事務所名 | 旧所属事務所 |
---|---|---|
ラランド | 株式会社レモンジャム | フリー |
さらば青春の光 | 株式会社ザ・森東 | 松竹芸能 |
ダウ90000 | オフィスカニバブル | YOU GO sign |
ビートたけし | 株式会社T.Nゴン | オフィス北野(現:TAP) |
西野(キングコング) | 株式会社CHIMNEY TOWN | 吉本興業 |
みやぞん | 芸能事務所かおまる | 浅井企画 |
ヒロシ | 有限会社ヒロシ・コーポレーション | 吉本興業 → サンミュージック |
キンタロー。 | 株式会社パンキュパイ | 松竹芸能 |
田村亮(ロンドンブーツ1号2号) | — | 吉本興業 → LONDONBOOTS |
みなみかわ | 合同会社ナンセ | 松竹芸能 |
なかやまきんに君 | 株式会社333 | 吉本興業 |
ヒロミ | 株式会社ビィー・カンパニー | プロダクション人力舎 |
じゅんいちダビッドソン | 合同会社潤一 | アミー・パーク |
石橋貴明(とんねるず) | 有限会社アライバル | オフィスAtoZ |
木梨憲武(とんねるず) | キナシコッカ株式会社 | オフィスAtoZ |
加藤浩次(極楽とんぼ) | 株式会社82style | 吉本興業 |
※上記は一例であり、他にも多くの芸人が個人事務所で活躍しています。
独立してもなお第一線で活躍している芸人から、組織運営をしながら新たな挑戦を続ける芸人まで、個人事務所だからこそ実現しているユニークな活動スタイルが見えてきます。
ラランド:株式会社レモンジャム
フリーで活動していたラランドの芸能事務所として「株式会社レモンジャム」を設立。サーヤさんが社長、マネージャーの橋本さんが副社長、ニシダさんが正社員を務めている。
さらば青春の光:株式会社ザ・森東
2013年に松竹芸能を退所し、独立した。社長は森田さん、副社長は東ブクロさんが務め、元芸人の山根さんがマネージャーとして在籍。会長・専務として、2匹の猫がいる。
ダウ90000:オフィスカニバブル
日本大学芸術学部のサークルから始まった8人組ユニット・ダウ90000が、2024年に合同会社KOHENを立ち上げ、「オフィスカニバブル」として本格的な芸能活動をスタート。
ビートたけし:株式会社T.Nゴン
2015年に設立され、ビートたけしさん本人が代表を務める芸能事務所。長年所属していたオフィス北野を2018年に退社し、同年4月1日よりT.Nゴンに所属することになった。
キングコング西野:株式会社 CHIMNEY TOWN
吉本興業を退所後、独立して設立した会社「株式会社NISHINO」を、2021年に「CHIMNEY TOWN」へ改名。現在はエンタメを中心として、そこから派生したサービスを企画・運営している。
みやぞん:芸能事務所 かおまる
お笑いコンビ「ANZEN漫才」が2023年度をもって解散し、みやぞんさんは所属事務所の浅井企画を退所した。独立して新たに設立した事務所では、メディアや地方ライブ、動画配信、講演会、広告などさまざまな活動をしている。
ヒロシ:有限会社ヒロシ・コーポレーション
2015年位開設したYouTubeチャンネル「ヒロシちゃんねる」は登録者数100万人超え(2025年時点)とキャンプブームの火付け役に。ソロキャンプ芸人として唯一無二の地位を築いている。
キンタロー。:株式会社パンキュパイ
2024年3月末に松竹芸能を退社し、独立。多方面におけるエンターティナー業や人材育成を目指している。自身の公式サイト「キンタロー。のちちぷcom」も展開中。
ロンブー亮:(フリーランス)
かつて吉本興業とエージェント契約を結び、相方・淳さんの会社「LONDONBOOTS」に所属していたが、2023年末で契約を終了。以降フリーランスとして、独立した形で活動を継続中。
みなみかわ:合同会社ナンセ
2024年5月末に松竹芸能を退所し、妻が2023年に設立した「合同会社ナンセ」に所属。
なかやまきんに君:株式会社333
2021年をもって吉本興業とのマネジメント契約を終了し、独立した。現在は社長を務めながらタレント、ボディービルダー、YouTuberとして幅広く活躍している。
ヒロミ:株式会社ビィー・カンパニー
1992年に長年所属していた人力舎から独立し、「株式会社ビィー・カンパニー」を設立。現在、マネジメント業務は外部の「プロダクションノータイトル」(芸能事務所)が担当している。
じゅんいちダビッドソン:合同会社潤一
YouTubeなどネット事業とお笑いイベントや舞台、テレビの仕事の窓口を一本化するため、2020年に事務所を退所し独立を決意。現在は、以後テレビやラジオ、イベント、Webなど多方面で活躍している。
石橋貴明:有限会社アライバル
「オフィスAtoZ」から独立したとんねるずの芸能事務所として設立。当時は石橋さんが社長で、相方・木梨さんが副社長となっていたが、現在木梨さんは辞任している。
とんねるず木梨:キナシコッカ株式会社
2000年に設立された「株式会社コッカ」が、2022年に「キナシコッカ株式会社」に改名。自身の社長業と並行し、石橋さんが社長を務めている事務所「アライバル」の副社長を設立から2018年6月に辞任するまで務め、所属タレントとしても籍を置いていた。
加藤浩次:株式会社82style
2019年より吉本興業とエージェント契約を経て、2021年に完全に独立。個人事務所「有限会社加藤タクシー」から、2021年4月より「株式会社82style」へ移行。ベルキッスコーポレーションと業務提携している。
芸人の独立は今後どうなる?

近年、お笑い芸人が事務所を離れて個人事務所を立ち上げたり、フリーで活動するケースが増えています。今後もこの流れは、さらに加速していくと予想されます。
個人でも発信力を持てる時代に
かつてはテレビ出演が芸人の主な活躍の場でしたが、SNSやYouTube、ポッドキャストなど、個人で発信できるプラットフォームが急速に発展しています。これにより、事務所に所属していなくても、ファンと直接つながり、影響力を持つことが可能になりました。
たとえば、YouTubeでネタ動画やトーク配信を行ったり、X(旧Twitter)やInstagramで日常や思いを発信したりすることで、事務所に頼らずともファンベースを構築する芸人が増えています。
活動の場が広がる一方で、課題も
一方で、独立には自由と引き換えに多くの責任が伴います。スケジュール管理や営業活動、経理・税務の処理など、これまで事務所が担っていた業務を自分でこなす必要があります。
また、トラブル対応や炎上時のリスクマネジメントもすべて自己責任となるため、知名度が上がるほど精神的・実務的な負担が増える傾向にあります。
独立は「選択肢のひとつ」に
このように、個人で活動する環境は整いつつありますが、すべての芸人にとって独立が最適な選択とは限りません。事務所に所属することで得られるサポートや安心感、営業力も大きな武器です。
そのため、「独立」はあくまでキャリアの中でのひとつの選択肢。自分の強みや目指すスタイルを見極めたうえで、慎重に判断することが求められます。
まとめ
個人事務所を設立して活動するお笑い芸人は年々増加しています。
この記事では、独立の背景やメリット・デメリットに加え、実際に活躍している芸人たちを一覧でご紹介しました。
テレビ以外の活躍の場が広がり、芸人自身の意思で道を切り拓く時代に変化しつつあります。
「好きな芸人の動向をもっと知りたい」「独立の流れに注目している」という方にとって、今後も目が離せないテーマといえるでしょう。
皆さんが応援している芸人はどんな形で活動してますか?
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